勢いで本を3冊買ったのに、1冊も読み終えなかった話
皆さんこんにちは!ヘルシーな猫です!
「今年こそ、ちゃんと本を読む人になろう」
少し前の私は、そんなふうに意気込んで、書店で面白そうな本を3冊まとめて買ったことがあります。帯の言葉にワクワクして、「これで新しい知識を手に入れるぞ!」なんて思っていました。
ところが、気づけば1か月。3冊とも、最初の数ページを開いたきり、机の上に積まれたままでした。本を読むはずの時間は、いつの間にかスマホを眺める時間に変わっていて、「また今日も読めなかったな…」と小さくため息をつく日々。
こんなふうに、「読まなきゃと思っているのに、なかなか読めない」という経験、ありませんか?
「読めていない」のは、私たちだけじゃないかもしれません
バイトや課題、友だちとの時間でバタバタしているうちに、1日が終わってしまう。「本くらい読んだほうがいいのかな」と思いつつ、自己投資しないと周りより遅れてしまうのでは…と、ぼんやり不安になってしまう気持ち、よく分かります。
でも、安心してくださいね。実はある研究のデータを見てみると、「読んでいない」のは決してあなただけではないことが分かります。この記事では、その研究をもとに、読書習慣のない大学生の特徴や背景を、やさしくひも解いていきます。読み終わるころには、少し肩の力が抜けて、「ちょっと読んでみようかな」と思えているはずです。
読書習慣のない大学生は、実は半数を超えています
5年間で13ポイント増えて、53.9%に
今回ご紹介するのは、武蔵野大学の浜島幸司さんによる「読書習慣のない大学生の特性と傾向」(2019年)という研究です。全国の大学生を対象にした「学生生活実態調査」の2013年度から2017年度のデータを分析したものです。
この研究では、「1日の読書時間が0分」の学生を「読書習慣がない」としています。その割合の推移は、次のとおりです。
- 2013年度:40.9%
- 2014年度:41.7%
- 2015年度:45.6%
- 2016年度:49.8%
- 2017年度:53.9%
わずか5年で13ポイント増え、2017年度には本を読まない人は半数を超えました。つまり、大学生の2人に1人以上は、1日に本を読む時間がまったくない、ということになります。(なお、ここでの読書時間には電子書籍も含まれています。)
「みんな当たり前に読んでいるんだろうな」と思っていた方は、意外に感じたのではないでしょうか。
1973年は6.2%だった、というデータも
ちなみに、もっと昔の調査もあります。1973年に首都圏の大学生403名を対象にした調査では、「まったく読まない」と答えた人は6.2%でした。
当時は、読書をするのが大学生の「あたりまえ」だったのかもしれません。それが今では、半数が読まない時代になっています。つまり、本を読んでいないからといって、決して「特別に怠けている」わけではないんですね。時代が大きく変わってきた中で、多くの人が同じ状況にいるだけなのです。
どんな人に「読書習慣がない」傾向があるの?
学部・性別・学年で見ると
研究では、どんな人に読書習慣がない傾向があるのかも調べられています。2017年度のデータを見てみましょう。
学部別では、文系が49.3%、理系が55.4%、医歯薬系が63.2%でした。実習や課題で忙しい学部ほど、読書の時間が取りにくいのかもしれません。
性別では、男性が51.5%、女性が56.7%と、女性のほうが少し多い結果でした。ただし、研究でも「大きな差ではない」とされています。
学年別では、1年生が53.0%、2年生が57.5%、3年生が54.6%、4年生以上が50.4%と、下級生のほうがやや多い傾向でした。学年が上がるにつれて、卒論や専門科目で本を読む機会が増えるからかもしれません。
こうした数字を見ると、「読書習慣がないこと」は、特定の誰かの問題というより、多くの人に当てはまる状況だと分かります。
大学生活で大切にしていることとの関係
もう一つ興味深いのが、「大学生活で何を大切にしているか」との関係です。2017年度のデータでは、読書習慣がない割合は次のようになっていました。
- サークル活動を重視する人:61.1%
- 「なんとなく」の人:61.0%
- アルバイトを重視する人:59.7%
- 「勉強第一」の人:48.2%
サークルやアルバイト、友人との時間を大切にしている人ほど、読書の時間が取りにくい傾向が見られます。一方で、「勉強第一」の人でも、約半数(48.2%)は読書習慣がありません。
つまり、バイトや友だちとの時間を大事にして毎日がんばっている人が、読書をしていないのは、ごく自然なことなんです。「読めていない自分はダメだ」なんて、思わなくて大丈夫ですよ。
勉強時間やスマホ時間は関係あるの?
勉強時間の差は、意外と小さい
「読書をしない人は、勉強もしていないのでは?」と思う方もいるかもしれません。でも、研究の結果は少し意外なものでした。
読書習慣のある学生のほうが、勉強時間は長い傾向がありましたが、その差は平均で10分程度。勉強時間そのものも、読書をする人としない人で大きく変わらなかったのです。
スマホ時間の差も、思ったほど大きくない
では、スマホはどうでしょうか。読書習慣のない学生のほうが、スマホの利用時間は長い傾向にありました。ただ、その差は1日あたり20〜30分ほどです。
さらに言えば、読書習慣のある学生も、1日に約2時間半はスマホを使っています。研究では、スマホ利用時間と読書習慣の関係は「有意ではあるものの、その影響力は高くない」と整理されています。
つまり、「スマホばかり見ているから読めないんだ」と自分を責める必要はないんですね。スマホは今や生活の一部で、読書をする人もしない人も、同じようにスマホと付き合っています。
読まなくなった背景には、何があるの?
入学する前から、読む習慣が育ちにくくなっている
研究では、読書習慣のない学生が増えている理由として、いくつかの可能性が挙げられています。
一つ目は、大学に入る前から読まない人が増えているという点です。読書の習慣は、子どものころや高校時代の経験とも深くつながっています。家庭環境や学校生活、社会のあり方など、いろいろな背景が関わっているため、大学生本人だけの問題ではないのです。
入学してからも、読む環境・時間・きっかけが減っている
二つ目は、大学に入ってからも、読書の習慣がつきにくくなっている点です。
研究では、次のような可能性が指摘されています。
- 情報収集がスマホ中心になり、書籍を読まなくても授業や課題をこなせるようになった
- 発表やコミュニケーション重視の授業が増え、「読む」ことの比重が下がっているのかもしれない
- 読む環境がない、読む時間がない、読みたいと思える内容がない(魅力や必要性を感じにくい)
これらは「そうかもしれない」という想定の話ですが、どれも「意志が弱いから」ではなく、環境や時代の変化によるものですよね。読めないのは、あなたのせいではないんです。
過去の自分と、今の自分
「本を読まなきゃ」と思いながら1日が終わっていた頃
ここで、少しだけ振り返ってみませんか?
少し前の自分は、「本を読まなきゃ」と思いながら、気づけばスマホを見て1日が終わっていなかったでしょうか。そして、読めなかった夜に、ほんの少し自分を責めていたかもしれません。
理由を知ろうとしている今の自分は、もう一歩進んでいます
では、今の自分はどうでしょう。こうして「なぜ読書習慣がないのか」「みんなはどうなのか」を調べて、自分の状態を知ろうとしています。
これは、気づかないうちに、立派な一歩を踏み出している証拠です。「何となく不安」だった状態から、「理由が分かって、少し安心した」状態に変わっている。それだけで、ちゃんと前に進んでいるんですよ。
半数が読んでいない今だからこそ、小さな一歩が目立ちます
読書は「勉強」だけでなく、自分の楽しみのひとつにもなる
研究では、読書を「勉強のための行動」としてだけでなく、「趣味のひとつ」として捉え直してみる視点も提案されています。アニメや漫画、鉄道、PCなどの趣味と同じように、読書も、自分の好きなことを深めるための選択肢のひとつになり得る、という考え方です。
勉強の息抜きとして、あるいは好きなことをもっと知るために本を開く。そう考えると、読書のハードルが少し下がりませんか?
数ページから始めるだけで大丈夫
そして、約半数の大学生が本を読んでいない今だからこそ、あなたが本を開く時間を持つことは、それだけで一歩リードすることにつながります。
とはいえ、ここで「毎日1冊読もう」なんて意気込む必要はありません。私のように3冊まとめ買いして挫折してしまうより、気になる1冊を、今日は数ページだけ開いてみる。それくらいの気持ちで十分です。
ちなみに、研究によると、読書を隙間時間に1分でもする学生は、1日に平均50分ほど読んでいるそうです。最初は数ページでも、「読む日」が少しずつ増えていけば、気づいたときには習慣になっているかもしれません。
おわりに
大学生の2人に1人以上が、本を読む習慣を持っていない。この事実を知って、少しほっとできたでしょうか。
読めていないことは、決して恥ずかしいことでも、怠けているわけでもありません。毎日バイトや課題や友だちとの時間をがんばっている、その結果なのですから。
そして、これから少しずつ本を開いてみようと思えたなら、それはもう立派な一歩です。周りの半数が読んでいない今だからこそ、あなたのその一歩は、きっと大きな強みになります。
無理をしないで、できるところから。まずは気になる本を、今日1ページだけ開いてみませんか?
【参考文献】
浜島幸司(2019)「読書習慣のない大学生の特性と傾向」『The Basis』Vol.9、武蔵野大学教養教育リサーチセンター紀要(データ元:全国大学生活協同組合連合会「学生生活実態調査」2013〜2017年度)

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