はじめに
皆さんこんにちは!ヘルシーな猫です!🐈
実は僕、朝がとても弱いんです。
前の晩は「明日は早起きして、勉強するぞ!」と本気で思っています。
ところが翌朝、アラームが鳴ると、ほとんど無意識のうちに止めてしまって、気づけば二度寝。
次に目が覚めたときには、予定していた時間はとっくに過ぎていて、「またやってしまった…」と、しょんぼりしてしまいます。
こんなことが続くと、「私って、なんて意志が弱いんだろう」と思ってしまいますよね。決めたことが続かない自分に、もやもやしたり、落ち込んだりします。
でも実は、「決意したのに動けない」のは、意志の強さだけの問題ではないことが、心理学の研究で分かっています。
この記事では、そんな悩みを助けてくれる「イフゼンプランニング」という方法を、論文の内容をもとに、わかりやすくご紹介します。
「イフゼンプランニングを試しても続かない」という方にも、うまくいかないときの見直しのヒントをお伝えしますね。
読み終わるころには、「自分を責めなくてよかったんだ」とほっとして、「これなら、私にもできるかも」と思っていただけたらうれしいです。
「決意したのに動けない」のは、意志が弱いからではありません
「今日こそ」と思っても動けない、あの気持ち
「今日こそ、部屋を片づけよう」
「明日から、毎日ストレッチをしよう」
「今週こそ、資格の勉強を始めよう」
こんなふうに決意したのに、いざその時になると、なぜか体が動かない。そして気づけば、時間だけが過ぎている。誰にでも、一度はある経験ではないでしょうか。
そのたびに「どうして私は続けられないんだろう」と、自分を責めてしまう方も多いと思います。でも、それはあなただけの悩みではありません。
決意だけでは、行動につながりにくい
もちろん、「やりたい」という気持ちは、とても大切です。研究でも、強い決意を持っている人ほど、実際に行動しやすいことが分かっています。
ただ、それだけでは足りないことがある、というのも、同じくらい確かなことなんです。
心理学では、「やろうと思っているのに、行動に移せない」状態のことを「意図と行動のギャップ」と呼んでいます。「やる気がないから」ではなく、「やる気はあるのに、行動につなげる方法が足りていない」ということなんですね。
運動したい人でも、実際に行動するのは約半分
この「ギャップ」の大きさを示す例として、今回ご紹介する論文では、こんな研究が紹介されています。
運動をしたいと思っている人のうち、実際に運動をする人は、約50%だったそうです(Rhodes & de Bruijn, 2013 のメタ分析)。
つまり、「やりたい」と思っている人の、およそ半分は、行動に移せていないということです。
そう考えると、「動けない」のは、あなたの意志が特別に弱いからではなく、多くの人が経験していることだと思えてきませんか?
だからこそ、意志の力に頼るのではなく、「決め方」を工夫してみましょう、というのがこの記事の提案です。
イフゼンプランニングとは?
「もし〇〇したら、△△する」と先に決めておく方法
イフゼンプランニングとは、その名のとおり、「もし(if)〇〇したら、そのとき(then)△△する」という形で、行動をあらかじめ決めておく方法です。
論文の著者の一人である心理学者のゴルヴィツァー氏が提案したもので、専門用語では「実行意図(implementation intentions)」と呼ばれています。
ふつうの目標との違い
ふつうの目標と、イフゼンプランニングの違いを、論文の例で見てみましょう。
- ふつうの目標:「もっと果物を食べたい」
- イフゼンプラン:「もし小腹がすいたら、まずりんごを食べる」
ふつうの目標は「何をしたいか」を決めるものですが、イフゼンプランは「どんなとき、何をするか」まで決めてしまうのが大きな違いです。
私の二度寝でいえば、こんなイメージです。
- ふつうの目標:「明日は早起きして勉強する」
- イフゼンプラン:「もしアラームが鳴ったら、まずカーテンを開ける」
こうして「きっかけ」と「行動」をセットにしておくのが、イフゼンプランニングのポイントです。
行動だけでなく、気持ちや考え方も決められる
さらに、この方法は「行動」だけに使うものではありません。論文では、次のような「〜したら」の部分(きっかけ)と、「〜する」の部分(やること)の組み合わせがあると紹介されています。
- きっかけ:「良いタイミング」や、「邪魔になりそうなこと」
- やること:「行動」のほか、「気持ちの切り替え」や「考え方」も決められる
たとえば「もし焦りそうになったら、深呼吸をして落ち着く」のように、気持ちや考え方について決めておくこともできるんです。
なぜイフゼンプランニングは効くのか
行動を「自動運転」にする仕組み
論文では、イフゼンプランニングは、行動を「自動運転」にする方法だと説明されています。
たとえば
あなたが車を運転をしているとします、信号が赤になったら、何も考えなくても自然にブレーキを踏みますよね。
あれと同じように、「きっかけ」に出会ったら、考えなくても体が動くようになる、というイメージです。
では、なぜそんなことが起きるのでしょうか。論文では、大きく2つの理由が紹介されています。
理由1:「きっかけ」に気づきやすくなる
1つ目は、あらかじめ決めた場面が、頭の中で「思い出しやすい状態」になることです。
「お風呂から上がったとき」と決めておくと、そのタイミングを見逃しにくくなります。「あ、今がそのときだ」と、気づきやすくなるんですね。
理由2:迷わずに、体が動きやすくなる
2つ目は、「きっかけ」と「行動」が強く結びつくことです。
「やろうかな、どうしようかな」と迷う時間が減るので、きっかけに出会ったとき、自動的に行動を始めやすくなります。「気合いを入れて、その場で決める」必要がなくなるので、エネルギーの節約にもなるんです。
「書き方」のちょっとした違いでも、結果が変わる
この「if-then」の形が大切だと分かる、興味深い研究もあります。
20代前後の若者557人に、果物と野菜をもっと食べるための計画を立ててもらった研究です。
「もし〇〇したら、△△する」という形で計画を立てたグループは、自由な書き方で計画を立てたグループより、果物と野菜の摂取量の増え方が66%大きかったそうです(Chapman ら, 2009)。
情報や例はほぼ同じで、違いは「if-thenの形で書くかどうか」だけです。
ほんの少しの書き方の違いで、結果が変わるのは驚きですよね。
なお、複数のメタ分析(たくさんの研究をまとめて分析したもの)では、イフゼンプランニングの効果は、おおむね「中くらいから大きめ」と報告されています。
研究から分かった、上手な使い方のコツ
ここまで聞くと、「魔法のような方法だな」と思うかもしれません。ただ、論文では「使い方にはコツがある」ことも、はっきり書かれています。ここからは、そのコツをご紹介しますね。
コツ1:「いつ・どこで」「何をするか」をはっきり決める
「そのうち」「時間があるとき」のようなあいまいなきっかけだと、気づきにくくなります。
「朝、アラームが鳴ったとき」「お風呂から上がったとき」のように、いつ・どこでの場面を、はっきり思い浮かべられる形にしておきましょう。
やることも、「頑張る」ではなく、「カーテンを開ける」のように、具体的な行動にすると動きやすくなります。
コツ2:「気持ちを押さえつける」プランは、逆効果になることも
論文では、こんな実験が紹介されています。
筋力を使う課題で「きつくなったら、その痛みを無視する」と決めた人たち(女子学生62人)は、そうでない人たちと比べて、課題の途中でより早く強い疲れを感じたそうです(Bieleke & Wolff, 2017)。
「考えないようにしよう」と思うほど、かえってそのことが気になってしまう、という経験はありませんか? 気持ちを押さえつけるプランは、そんなふうに裏目に出ることがあるようです。
ですので、「我慢する」「無視する」よりも、「これをする」と、やることを具体的に決めるほうが、取り組みやすいと考えられます。
コツ3:決めた場面以外では、効かないことも。うまくいかないときは見直しを
イフゼンプランは「決めた場面」で、とてもよく働きます。その反対に、次のような副作用も報告されています。
- 決めた場面以外で、やったほうがいい行動を見逃してしまうことがある
- 似ているけれど、別の行動が必要な場面でも、決めた行動をしてしまうことがある
たとえば、「平日の朝は、いつもの道で駅に行く」と決めていると、休日に別の場所へ出かけるときも、うっかり同じ道を歩いてしまう。そんなイメージです。
ですから、もしイフゼンプランが「続かない」と感じたときは、「私がダメだから」ではなく、「きっかけの場面が合っていなかったのかも」と、プランのほうを見直してみてください。
知っておきたい注意点
最後に、正直にお伝えしておきたいことがあります。
この論文で紹介されている実験の多くは、大学生が短い課題を行ったものです。ですから、「イフゼンプランを使えば、何でも必ず成功する」とまでは言えません。
大切なのは、万能な魔法だと思い込まず、「試してみて、合わなければ調整する」くらいの気持ちで取り入れることです。
今日からできる、イフゼンプランニングの作り方
では、実際にイフゼンプランを作ってみましょう。3つのステップで、とてもシンプルです。
ステップ1:やりたいことを決める
まずは、「やりたいこと」を1つだけ決めます。
最初から、たくさんのことに挑戦しなくて大丈夫です。「朝、少し早く起きる」「寝る前にストレッチをする」など、小さなことからで十分ですよ。
ステップ2:きっかけとなる場面を選ぶ
次に、毎日ほぼ確実にやってくる場面を選びます。
「アラームが鳴ったとき」「歯みがきが終わったとき」「お風呂から上がったとき」「電車に乗ったとき」など、すでに生活の中にある行動を選ぶと、見逃しにくくなります。
ステップ3:「もし〇〇したら、△△する」と一文にする
最後に、きっかけとやることを、シンプルな一文にします。
- 「もしアラームが鳴ったら、まずカーテンを開ける」
- 「もしお風呂から上がったら、ストレッチをする」
- 「もし電車に座ったら、参考書を1ページ開く」
長く書く必要はありません。頭の中で、その場面を思い浮かべながら、一文にするだけで大丈夫です。
朝が苦手な私のプラン
ちなみに、朝が苦手な私が最初に決めたのは、こんな一文です。
「もしアラームが鳴ったら、まずカーテンを開ける」
「起きる」ではなく、まず「カーテンを開ける」という小さな行動にしたのがポイントです。最初から、大きな行動を目指さなくても、いいんですよね。
過去の自分と、今の自分
ここで少しだけ、振り返ってみませんか?
「気合いだけで頑張ろう」と思っていた頃の自分と、「こうなったら、こうする」とあらかじめ決めておくようになった今の自分を、比べてみてください。
以前の私は、前の晩に「明日こそ早起きするぞ!」と気合いを入れては、朝になって二度寝をして、自分を責めていました。
でも今は、「アラームが鳴ったら、まずカーテンを開ける」と決めています。気合いに頼るのではなく、仕組みを使うようになったんですね。これは、小さくても、確かな変化だと思っています。
もしあなたにも、「そういえば、前より少しだけ、先に決めておくようになったかも」と思えることがあれば、それは立派な成長です。
気づかないうちに、あなたはもう、自分に合った工夫を見つけ始めているのかもしれません。そして、まだ見つけていなくても大丈夫です。
今日から始めれば、ちゃんと間に合いますよ。
おわりに
「決意したのに動けない」のは、あなたの意志が弱いからではありません。多くの人が同じように悩んでいて、その原因の一部は、「決め方」にあったんです。
今回ご紹介したイフゼンプランニングは、「もし〇〇したら、△△する」と決めておくだけの、とてもシンプルな方法でした。
ポイントをおさらいしておきますね。
- 決意だけでは足りないのは、自然なこと
- 「きっかけ」と「行動」をセットで決めると、動きやすくなる
- 気持ちを押さえつけるより、やることを具体的に決める
- うまくいかないときは、自分ではなくプランを見直す
まずは今日、たった1つだけ、「もし〇〇したら、△△する」を決めてみませんか?
うまくいかない日があっても、大丈夫です。プランを少し変えて、また試してみればいいだけですから。
焦らず、あなたのペースで、小さな一歩を踏み出してみてくださいね!


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